昔の和裁の本って本当に勉強になりますね。
この本は昭和12年に創刊された「主婦の友社」の「和服洋服編物の赤ちゃん物百種の作方」「防寒編物と防寒裁縫集」というものです。昭和12年という時代から子供には洋服を着せようという考えがあったらしく(大人だと抵抗のある洋服を物心のついていない子供の内に着せておけば大きくなってもなんの抵抗もなく着れるだろうというその当時の日本人の考えがあったらしいです、あれ!?これは戦後の話だったかなぁ・・・)、洋風なコートや編物、お宮参り用の祝着までもが洋服風に紹介されています。
それでも日本人の「物を大事にする精神」は受け継がれているようで、‘小布を継ぎ合わせた子供用蒲団の作方’や、‘ベビー用古毛布でのおくるみの作方’ など、古くなったものをどう新しく生まれかわらせる事ができるかといった方法がたくさんかいてあります。
この本に面白い記事があったので紹介します。
「●温かい産着一揃ひの仕立方●●●柔らかな肌に直接触れるものですから、生れてから一・二週間は一度洗つて糊気をよく落した晒木綿が一番よろしいやうです。またお母様の着古した晒布の襦袢を解いて赤ちゃんのにいたしますと、肌触りといひ、保温といひ、理想的だと思ひます・・・。」
なんて素敵なことだろう!!無駄のない合理的なことといい‘捨てない文化’といい、昔の日本人を本当に尊敬します。
今、和裁を習い始めてよく思うことがあります。反物をいかに切らないで仕立て上げるか、これが‘‘昔の和裁’’としての考えなのですが、今和裁をしている人の中にはそんな思想を知らずに仕立て上げている人が多いようです。
例えば、ここをわざと切らずにわっかにして折り返して使っているという部位があるとします。和裁の先生は72歳で当たり前に着物を着ていた時代と今の時代の着物、両方を肌で感じてきておられます。そんな先生でも、「ここは切ればいいんだ。どうせ、これを子供の襦袢に解いて縫い直す人はいないのだから・・・・」と少し投げやりにでも悲しそうにおっしゃいます。そんなことを教えても実践する人などいないのだから。。。といった感じです。
なんだか悲しいですね。でもわたしはそんな‘‘昔の和裁’’を学んでいきたいと思っています。ただの仕立て屋ではなく、いかに上手に反物を捌けるか、これを日々学び伝えていきたいと思います。